「仙台数学院」から「東北高等学校」へ

　本学園は明治27年に「仙台数学院」という一私塾としてうぶ声をあげました。 以来、約130年におよぶ歴史を刻んで今日に及んでいます。学園の創設者は上野清・五十嵐豊吉・大松沢実政の三氏ですが、上野清先生は当時、東京数学院（現在学校法人上野塾、東京高等学校・東京実業高等学校）を経営する著名な数学者で、宮城黒川郡出身の大松沢先生と、山形県酒田市出身の五十嵐先生は共に東京数学院に学んだ上野先生の門弟にあたります。仙台市長の要請を受けて小学校の先生のための数学講習会に来仙する上野先生、その代行をつとめた五十嵐先生が、地元大松沢先生の協力を得て数学教授のための私塾を仙台市東三番丁に開設しました。仙台数学院はこうした機縁から誕生したのです。
塾運営の中心となった五十嵐豊吉先生は当時弱冠23歳。創業の苦しみの中で青少年の教育に対する熱情を増幅させていった先生は、単なる知識・学問の伝授に飽きたらず、ことにイギリスの私立学校に見る人格の陶冶、「人」を育てる教育の実践を志しました。地域の篤志家や有識者を訪ねて協力を請いながら、数年にして北一番丁（現上杉山公園）に独自の校舎を建設。明治33年に文部省の認可を得て、中学校の設立を見るに至りました。
五十嵐豊吉先生は自らその初代校長に就き、広く東北各地から青少年を集めて、自由闊達・師弟協働の教育を実践、今日における学園教育の基盤を作りました。 昭和4年、現在の小松島キャンパスの地へ移転。戦後の学制改革により、東北中学校・東北高等学校及び東北商業高等学校を併せた時期もありましたが、東北高等学校に統合され現在に至ります。